# 特別寄稿
Yakult special 対談 腸のプロが腸について語ります
皮膚・排泄ケア認定看護師
平山 千登勢
Chitose Hirayama
1991年に看護師免許を取得し、2006年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格取得。日々のケアの中で排泄障害に着目し、「山梨大学大学院 高齢者・排泄学」に進学して2018年に修士課程を修了。1996年より杏林大学医学部付属病院に在職し、現在は、消化器外科病棟で監督職として勤務しながら、週に1~2回ストーマ外来や尿失禁外来、女性骨盤底外来などを担当。
※皮膚・排泄ケア認定看護師とは、褥瘡や糖尿病足潰瘍などの創傷、人工肛門や腸膚瘻・胃瘻などのストーマ、尿・便などの排泄に障害がある方などを専門的にケアする看護師。
より健康な体のために、
プロバイオティクスと
プレバイオティクスで
腸内環境を整えていく。
腸活が注目を浴びる昨今、
腸の専門家である
皮膚・排泄ケア認定看護師の平山千登勢さんに
腸の重要性、正しい腸活について聞きました。
排泄ケアをとおして、
生活の質を高めていく。
これはある患者さんのご相談内容ですが、便秘になりやすいからと、下剤を毎日飲んでいる方がいらっしゃいました。連日の下剤内服で下痢になっているため、止痢剤も処方されていました。そこで下剤と止痢剤をやめて、食事の調整と整腸剤と便を柔らかくする薬で下痢と便秘が改善したのです。排泄の悩みを抱えている方はとても多いと思います。改善することでQOLを高めていきたいと思っています。
腸活の鍵となる、プロバイオティクスとプレバイオティクス。
プレバイオティクスは、大腸の良い菌を増やし、悪い菌の増殖を抑える食品で、食物繊維やオリゴ糖、乳製品に含まれる乳糖や、雑穀やイモ類に多く含まれる難消化性でんぷんなどがそれにあたります。ビフィズス菌などの良い菌が増えるための餌になりますし、食物繊維は特に便性を整えるのに欠かせません。排便障害がある方には、日常生活で多く摂取していただきたいです。
プロバイオティクスで便性に良いと言われているような良い菌のビフィズス菌、乳酸菌など食品で補った菌は、一定期間摂取しなくなると、排便とともに腸から排出されていなくなってしまいます。そのため、定期的に摂り続けてもらうことも必要なのです。そして、これらの良い菌の餌となり、増殖を助けるのが、プレバイオティクスである食物繊維やオリゴ糖などです。そのため、料理でうまく食品を組み合わせたり、チョイ足し的に摂ることで、菌の効果も高まります。ですので一緒に摂ることをおすすめしています。
正しい食事と運動を習慣化して、効果的な腸活を。
食事の改善や乳酸菌飲料やヨーグルトの摂取を開始したら、最初は同じ種類の乳酸菌飲料やヨーグルトの摂取を2週間続けてください。その後は違う種類を定期的な周期で変えて摂取すると、色々な菌が活性化すると言われています。市販の製品に含まれている乳酸菌やビフィズス菌には、多くの種類があり、それぞれ性質が違います。また、摂取を中止すると腸から菌は排出されてしまいます。薬と異なり、乳酸菌やビフィズス菌の餌となり働きを活性化させるので、最初の2週間は同じものを続けると良いでしょう。
排泄には肛門や尿道だけでなく、足腰・呼吸筋や腹筋なども必要ですので、手足を動かしたり、屈伸運動を日常生活動作の中で取り入れていくことも大切だと思います。
骨盤底筋訓練は、骨盤底筋強化のため、肛門・膣・尿道を締める、緩める運動を行いますが、感覚がわからない人は、肛門を締め上げるイメージで1回に早い運動とゆっくりの運動を10回ずつを1セットとして1日に4回程度(計80回)程度行ってください。例えば、トイレの時やテレビを見ている間、日常生活の中で習慣化できるような時に実践できると良いと思います。